こんにちは、事務屋ひばさんです。
今日は10月の7日・・とても晴れてて気持ち良い日です。
ドライブにも温泉にも、美味しいもの祭りにも・・何をするにも良い季節ですね~!
そんななか!
先日は、ひばさんの周辺では捕まった人が続出(?)したようで・・、
「罰金、これって会社経費で・・落とせませんか??」
と相談されました。
おぉ・・速度超過の切符か・・
アウト~
と思いましたが、そこは「うーん・・」と逃げつつ。
聞けば、この日は他のスタッフも大体同じ場所で、大体同じ理由で切符を切られたのだそうな・・。うちの会社、検挙率が高いようですが。
ということで、
今回は罰金とかって経費になりますか??
というお題でーす。
交通違反切符の会計処理はどうするのが正解?
「業務中、ちょっとお客さんのところに納品するために路駐したらダメだった」
とか、
「お客さんとこいくのに、速度出しすぎた」
とか。
もちろん業務中という前提ですが、果たしてどうでしょうか。
会社が払った、従業員個人が払った、いろんな事情があった・・と思われますが、基本的に「損金にはならない」とみて良いでしょう。
このとき、「会社からお金を出す。」という行為と、「損金になる」という事柄は、別箇のものである事に注意です。
「経費になる」という言葉と、「損金になる」という言葉は、似ているようで実は違った言葉になります。
結論から言うと、罰金は決算書上は経費にして計上することはできますが、税金計算上は損金とすることができません。
まって!!何が違うの!?
と混乱してしまいそうですね!
法人は、決算を迎えますと、会社の1年間の損益や財産情報をまとめて「決算書」を作ります。そして、決算書で出てきた利益に対して法人税を計算します。法人税は、会社の儲けに対してかかってきます。
この法人税等の計算をする書類が「確定申告書」と呼ばれるものになります。
では、決算書で「4,000千円の利益がでた!」といった場合、まんま「4,000千円」に税金がかかるのでしょうか。
実のところ、そうではないのですね。
決算書では、売り上げから仕入や経費を差し引いて、今期の利益を計算します。
が、「決算書上では経費にしたけど、税金計算上は経費にならないもの」が存在し、この調整をするのが「確定申告書」のお役目だったのです・・(*ノωノ)
つまり、
- 決算書の作成時 ← 罰金なども入れて処理する。
- 確定申告書の作成時 ← 罰金などは除いて(別表にて調整)処理する。
- 法人税等の納付時 ← 罰金などは除いて計算した納税額。
になります。
例えば交際費ですが、年間1,000千円の交際費の支出があったとしても、1,000千円全額が交際費として経費となるわけではないのです。
決算書上は、モチロン1,000千円でOKなのです。が、確定申告書上で税金を計算するときには、900千などの金額しか認められておりませんのです。
これは、個別にみて「これは交際費じゃないよ。」とか「これはアウトー。」とかはじかれるのではなく、「交際費全額の内、何割かは交際費から抜きますー。」という計算になります。
ですので、決算書上では1,000千円の交際費により、4,000千円の利益が出ていたとしても、確定申告書の計算で交際費は900千円になり、利益は4,100千に増える・・!という事になります。その増えた利益の分、税額は大きくなってしまいますね。
この交際費の他にも、
「決算書上では経費になるけど、税金計算上は損金にならないよ。」
とか、
「決算書上は出てこないけど、申告書上では差し引きするよ。」
とかいうのがたくさーんあります。
そして、今回のテーマである罰金ですが。
これも、決算書上は経費にして計上することはできますが、税金計算上は損金とすることができません(`・ω・´)
冷静に考えるならば、違反行為に対する制裁である罰金を払うことにより、税金が安くなる・・お得!という事はあり得ませんね(;´・ω・)
そもそものところ、違反ですからね・・ということをお忘れなく・・。
勘定科目はどれを使えば良いのん?
ですので、会社でお金を出したとしても、その時点では「租税公課」とかの科目で支出して、確定申告書上では調整をすることになります。
仕訳で見ると、
租税公課 / 現金 (適用 速度超過切符 営業 〇〇さん)*適用もしっかりと・・
と、処理を入れます。
いずれ、確定申告書上では「罰金の支払い」は損金とはならないので、勘定科目は何を使っても同じというか・・「租税公課」を使っても、「雑費」を使っても良いかと思うのですが、
「前回の切符は雑費~!」
「今回は租税公課~!」とか、
「この人の切符は雑費~!」
「この人は租税公課~!」とか
バラバラにならない様に一貫性をもって処理すれば良いかと思います。毎回ばらけていると、申告書を作成する際に涙を流すことになるかもしれません。それから言わずもがな、消費税等の仕入控除にはなりません。
ところで、給与処理をする場合もあるかもしれません。
これは、「会社で出したけど、本来は本人が払うべきものだな・・!」という場合でしょうか。
本人持ちの経費だから、会社としては給与で出すよ、あとは自分で始末してよねという・・。
この場合、会社はあくまで給与を支払っただけなので、これは罰金にはなりません。ですので、先ほどの「損金にならない」という話とは状況が変わりまして、給与としての損金になります。
(支払時)給与 / 現金 〇円
ご本人は、この罰金分としてもらった給与に対して源泉所得税と住民税が課せられることになります。
(給与支給時) 現金 / 預り金 △△円 (月給分と合わせて源泉所得税等を徴収する例)
この、「租税公課」や「雑費」にするか(損金とはならない)、「給与」とするか(損金になる)は、「業務との関連はどうか」とか「従業員本人の責任度合い」とかの状況判断によって、区別するところかと思います。
どう見ても会社持ちっていう時は、租税公課などにして、損金から除く。個人的な責任が強い時は給与処理にする、とか考えられるかと思います。ここは、従業員と会社との交渉になりますかね・・。
駐車違反や速度超過。罰金いろいろ・・
ところで、切符の他にも・・罰金ぽいのって見たことないですか?
例えば、「加算税」とか「延滞税」とか・・そういうのです。
こういうのも、実は損金となりません。これらは、税金を延滞したことに対して課せられる罰金や、延滞料です。残念ですが、これらも損金とならない仲間達でございます。
この「損金にならない罰金等の仲間達」は、こちらのページに出ていますね。
(参考) 国税庁/損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期
まず、こういう支払が無い事が一番なのですが(*’ω’*)!
一方で。社会保険料の延滞は経費になりますか。
上に出てきた「国税庁/損金の額に・・」をご覧頂くと・・
よく見ますと、この中には「社会保険料」が・・含まれて・・おりません!
おぉ・・!
ここまであれほど「罰金は損金になりません」などと抜かしていたにも関わらず、社会保険料や労働保険料の延滞は経費に入れて損金としても良いのか・・!
良いのか・・!
良いんだ(*’ω’*)!!ピーン!
ということになってしまいました!←適当
何故、損金にならないものの範囲に含まれていないのかはわかりませんが、これは損金に入れられるものの様です。一説では罰金というよりも「利息」という性質に近いとか、社会保険料自体は税金ではないから・・とか難しい理由がそこにはあるようです。。
まとめ
以上、交通違反切符や加算税や利息などについて、「経費になるの!?」という事で見てきましたが、参考になりましたでしょうか。
結論として、
「払って経費にしてもいいけど、税金計算上は損金にならないよ」
ということと、
「社保や労働保険の延滞は経費(損金)にしても良いよ」
という事ですね~(*’ω’*)
ですので、罰金などの支出があった場合、
①「租税公課」などで経費処理をする。
②決算後、確定申告書を作成する段階で所得金額から「減算処理」をする。
ということになります。
いずれも、そういった支出が無いのがベストですが、いつ何が起こるか分からないものです。
いざという時に慌てない様に、自社のルールを決めてしまうのも良いかもしれませんね。
*このページは、ひばさん本人の経験をご紹介するものです。実際にご自身の申告にあたり、罰金&損金などの疑問がおありの場合には、早合点せずに税務署や税理士さんへご相談することをおススメします。