決算を間違った!?まずは何をどうすべき?申告書と決算書の訂正方法など。

以前、「粉飾」とか「脱税」などというテーマでも記事を書きましたが、じっさいのところ、その気はなくとも

「ま、間違ってる・・( ;∀;)!!」

という事はあり得ることです。

重大な間違いから、ちっちゃい間違いまで、そこは様々かと思いますが・・

見つけた時の絶望感は、半端ないですね!

よく分かりますよ!ほんとよく分かります!!

さてさて、今回はこの「前期決算での間違い」。

ご自分で決算をまとめてらっしゃる方も、会計事務所に任せてらっしゃる方も、訂正などにはどんな方法があるのか、ちょっとだけ覗いてみましょう~

目次

厳禁なのは、前期の決算数値を直接いじること!

決算も終わってひと安心!!!

さ、そろそろ記帳しようかな~っとATMに行ったところ・・

「あっ!あっ!期末に入金あるじゃん!」

とか

「えっ!引き落としかかってる!!」

などということってありませんか?

そんな時、慌てて前期の会計帳簿を出してきて~・・レッツ記帳!

・・などと言うことはしてはいけません(`・ω・´)

前期の決算数値は、すでに締めてしまったものです

いくら、その数字に足りないところや変なところがあっても、決算の数値はいじることができません。

間違っていたとしても、その決算書は税務署に提出され、その数値をもとに税金を計算して、納税までしています。

さらに、その決算数値をもとに作られた申告書は、市町村や振興局にも届け出られています。

手元にある決算書を「ちょちょっ」と直しただけでは、直したことにはならないのですね。

それでは、間違いを見つけてしまった時はどうしたら良いのでしょうか。

当期でちゃっかり直しちゃう方法は・・?

いきなり、声を大にしてはお知らせできない内容ですが・・もし、

「税金に影響がない」

「ごくごく小さい数字」

などという些細な(?)モノであれば、期首に訂正の仕訳を入れても良いのでは…?と思うものもあります。

これは、ただ

「科目を間違えた!普通預金の補助科目、みず○じゃなくてUF○だった・・。」

とか、

「期末に受取利息が数円入っていた・・。」

とか、本当にどこにも影響がなさそうな場合です。

利益だとか、納税額だとかは9割9分9厘影響はないけれど、処理を入れない事には・・前期~当期の帳簿がうまくつながらない!・・という時は、期首でちゃっかり訂正仕訳を入れたり、振替の処理を入れたりして調整します。←小声

ただし、自分では「影響ないよね!」と思っていても、利害関係者の中には「聞いてないよ~!!?」という場合もあるかもしれません。

一人で判断せずに、税務署や会計事務所に相談することをおススメします。

まずは申告書を訂正する事を考えよう。

悪気があったわけでは無いのですが、間違ってしまった場合。

「利益が少なく計上されていた!!」

という場合は、追加で税金を納税しなければ・・ならなくなるかもしれません。

逆に、「ちょっと税金納め過ぎたな!?」という場合は、還付を受ける事ができます。

いずれの場合でも、間違った決算書自体はもう訂正することができませんので、当期(現在進行中の期)で、訂正を入れることになります。

が、決算書を直す前にやることがあります・・。それは、

税務署や市役所、地方振興局に提出した「確定申告書(間違った期のやつ)」の方に修正を入れます。

仮に、間違った決算書を「正しく計算していた場合、実際かかっていた税金はいくらだったのか??」という計算を改めて行い、追加で納税額があれば納税をします。

取り急ぎ、税金計算だけを行って、正しい額の納税をまず先にやってしまうんですね!(追加納税の場合、利息もかかるので・・!)

利益を少なく計算していて、正しく計算し直す手続きを「修正申告」といいます。

逆に、ちゃんと計算した結果

「あれ?なんか・・納めすぎたかも??」

という場合。

この場合は、「更正の請求」という手続きを取ります。

更正の場合は、一度納めすぎてしまった税金を、税務署から戻してもらう事ができます。

更生の請求は、法定の申告期限から5年以内となっています。ですので、前期に限らず、前々期、前々々期(あるか?)であっても諦めずに還付を受けるようにしましょう。。

修正申告の場合は、期限という期限は設けられていませんが、税務署から「修正してね?」と言われる前に、気づいたら速やかにやりましょう。前にも触れましたが、修正によって追加納税が出る場合が考えられますので、この修正は早ければ早いほど良いです。

参考 【申告が間違っていた場合】/国税庁

この様に、決算&確定申告の中で、何かミスをしてしまったとしても、とりあえず・・なんとか申告書は訂正していく手段はあります。

では、次は決算書です。決算書はどのようにしたらよいのでしょうか?

いずれにせよ、決算書は今期の決算で手直しをする。

確定申告書はなんとかなった。

でも、決算書はそのまま~・・

では、決算書と確定申告書はつながらないものになってしまいます。

基本的に、決算書で出た利益をもとに、確定申告書で所得を計算し、税金を算出していきますので、決算書と確定申告書の数字はどこかでつながっていなければなりません。

 決算書を作って「利益」を計算する。   *決算報告書を作る作業

         

決算書で出した利益をもとに、いろいろ調整をかける。  *確定申告書を作る作業

         

税金がでる!   *確定申告書を作る作業

すごく簡単に言うと、上の様な流れになるのですが、先に確定申告書の数字を訂正しましたので、決算書も修正を入れていきます。

ただし、決算書は、「ミスのあった期」ではなく、現在進行中の「ミスに気づいた期」で行います。

申告書の訂正は、ミスのあった期を訂正する。

決算書の訂正は、ミスに気づいた期で訂正をする(仕分けなどで)。

その際、ミスを修正することで、今期の決算書上で

「多額の損失がでる。」

とか

「あり得ない利益がでる。」

もしくは、

「へんてこな粗利率がでる。」

などの、明らかにどこか数字が変な場合。もともとの「正しい損益」が分からなくなってしまう場合、

「前期損益修正益(損)」

という科目を使って、損益を計上します。

ただし、大きい会社などでは「前期損益修正」は使えない様になりましたので、

「利益剰余金」

という科目で修正をしていきます。

たとえばの話ですが、単純に売上金額が間違っていた場合を考えて見ます。

  • 前期の売り上げ金額が少なかった。
  • 売掛金の額も訂正が必要。
  • 足りなく納めていた法人税等があれば、コレも追加処理。
  • 消費税も納税しているので、こっちも訂正がいる。

と、修正箇所を洗い出してこれらをなんとか仕分けします。

まず、売上と売掛金の訂正ですが、先にご紹介した「前期損益修正益(損)」を使います。

今回の例は、「売上が少なかった」ので、利益と売掛金を追加で上げます。このとき、「売上」の科目を使うと、今期の正常な売上と混じってしまいますので、「売上」科目は使わず・・

売掛金 / 前期損益修正益(損)

で、足りなかった売掛金を足して、同時に前期で計上漏れしてしまった利益を足します。そして、

法人税等 / 現預金等

で、追加納税分も納めて計上します。

消費税も計算し直すと、おそらく足りなく納めているので、未払いの消費税があると思います。

決算時に消費税をどう処理しているか(本則計算か、簡易課税か)でちょっと仕分けが変わりそうですが、租税公課で処理しても良いかと思います。

租税公課 / 現金等

修正申告の場合、申告書の提出と追加納税は同時に行います(提出後に納税しますと、また利息とかなんとか出てきます)。

ですので、一々「未払消費税」や「未払法人税」などの科目は使わず、一気に納めて仕分けるとスッキリ行くと思います。

大きく間違ってしまったときは、、ぱっと見てわかる科目で処理しておいた方が後々わかりやすいですしね(←直すと大体忘れる)

今回の例では、「売上が少なかった」という場合を考えて見ましたが、ただただ「期がズレちゃった!」というだけの場合、翌期首にはもれなく計上されますよという事もあるかと思います。

この場合、もし仮に税務調査が入っても認容されそうな(長い目で見て解消されそう)なので、あえて訂正しなくて良い場合もありそうです。

難しくなってきましたが、事実難しい内容だと思います。

こ、こ、こ・・こりゃ難しいぜ!

と感じた場合、あえて手をつけずに専門家を頼むのが最適解の場合もあります。

ここでムリに訂正をしようとして、さらに間違いを加えてしまうことがあることも忘れてはなりません!!間違いに間違いを重ねると、専門家が見ても迷宮入りになることも・・。

「あ!こりゃムリかも・・?」

という野生の勘が働いた場合、この勘はおそらく正しいので、専門家の助けを求めましょう。税務署へ相談をするか、税理士さんに早めに相談してください!

直せる、とはいえ・・毎年の様に訂正はしない!

間違えることは、仕方がないことです。

ひばさんも、月次の段階ではしょっちゅう間違えたり、忘れたりしては・・修正というか、直し切れていないというか・・そんな按配ではありますけど。

ただ、毎年の様に

「前期の間違いがあった!」

「納税多かった!」

「まだ納めていない税金が出ちゃった!」

という様なことになると、決算書に対する信用度が落ちてしまいます。

・・とはいえ、間違ったところに関しては、悶々と「どうしよう~・・どうしよう~・・(;´・ω・)」としているよりも、正しく修正してしまうことも大切なことです。

「来期は間違えないぞ!」

という決心とともに、修正を行いましょう!

ただし、修正などを行う場合は、延滞税が発生したり、訂正の結果、法人税だけではなく消費税等も訂正が必要になったりと、いろんなところに影響がでる場合もたくさんあります

ご自分で決算をなさっている場合で、本業にも時間が取られて決算に集中できない・・!!という場合は、専門家を頼んでしまうことも良いと思いますよ!

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最後にちょっとまとめましょう。

①間違えをどうにかするには、まず間違った期の『確定申告書』をどうにかする(修正申告、更正)

②決算書は、間違いに気づいた期(つまり、現在進行中の期)で訂正をする。

この二つの『確定申告書』、『決算書』がなんとかなればOKです。さらに、確定申告書の訂正には追加納税や還付の処理も忘れずに・・!

健闘を祈ります!

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